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連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第17週『隠しきれない恋』の『第97回』と、第18週『ライバル』の『第98回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第97回】
糸子(尾野真千子)は、隣町に周防(綾野剛)の紳士服の店を開くことにする。率先して店のしつらえに取り組む糸子。一方オハラ洋装店は、繁盛するものの、ぎくしゃくとしている。そして周防も自分の家族を気にしているのだった。親族会議では妹たちを従えて糸子をかばった長女・優子(野田琴乃)だが、周防の子どもたちになじられ、つらい思いをする。紳士服の店が完成した日、糸子は周防が心から喜んでいないことを知る。

【第98回】
昭和29年、糸子(尾野真千子)のオハラ洋装店は新しくなった。店では流行の服のファッションショーが行われ、次女・直子(川崎亜沙美)は手伝わされる。長女・優子(新山千春)は、絵の勉強に余念がない。招かれざる客として北村(星田英利)が現れ、三女・聡子(村崎真彩)も加わり、娘たちをカフェに連れて行く。帰りに小原家で千代(麻生祐未)にもてなされる北村。木之元(甲本雅裕)はアメリカ商会なる店を始めていた。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第97回】いよいよ第17週『隠しきれない恋』の最終日…

本放送時は、2012年1月28日(土)。第17週『隠しきれない恋』の最終日だ。

時は昭和23年(1948)12月。前回の修羅場が誰が発起人であれだけの面子が集まったのか分からず仕舞いのまあ、時は過ぎたらしい。映像を見る限りは修羅場も三姉妹の活躍? で落ち着いたのか。そこら辺の描写は、この糸子のナレーションで良く言えば省略、悪く言えばうやむやに…

糸子(M)「まあ いろいろ 思うところもあって…」

糸子が「はだかの王様」なっていく過程が、良く描けている

周防は、糸子の計らいで? 隣町に紳士服専門の「テーラー周防」を構えることに。

そして、糸子は土産に団子を買って店に戻り、縫い子たちにに声を掛けるが、誰も出迎えるどころか声も掛けない。糸子の表情から察すると、どうやら三姉妹の手前、大人たちが落ち着いたことにしているようだ。盆に乗った団子と2つの湯呑のアップから、それが糸子と周防のことだと分かる。

糸子は、空元気のような雰囲気で、周防に容器に新しい店のことを次々と報告する。周防は黙って聞いて茶を一口飲むが、団子には手を付けない。糸子は、傍に置いておいた団子の入った箱を差し出して、周防の方に頬を付け寄り掛かる。周防は糸子の頭に頬を付ける…

糸子(M)「周防さんが おやつを こっそり
     子どもらに 持って買ってるんを知ってました。
     だんごなんか もう 今のうちは
     100個でも200個でも 買えます。店は 繁盛してました」

松田恵も昌子も、店の順調な経営については口を挟まなかったが、相変わらず “妙な空気” はその後も漂っていた様子。この辺の糸子の “思い立ったらすぐ行動” をし、“必ず結果を出す” と言う気性が、徐々に周りとの距離を広げ、まるで「はだかの王様」のようになっていく過程が、良く描けている。

八重子の作り笑顔にハッとする、糸子の表情が素晴らしい

次の安岡美容室での、八重子への一言と八重子の反応、その反応を見た糸子の表情にそれが的確に描写される。

糸 子「まあ うちも 稼ぐだけは きっちり稼いでるよって
    恵さんも 昌ちゃんらも うちのやる事に
    何も口出せんようになったわ」
八重子「ほうけ… 開店は いつなん?」
糸 子「年明け。派手にやるさかい また のぞいて」
八重子「せやけど うちとこは ほら 背広着るような男 いてへんしな」

八重子の無理矢理の作り笑顔に気付く糸子…

冷たい冷たい冬の風が優子の髪をなびかせる…

夕方。習い事へ向かう優子が家を出ると、見知らぬ姉弟が家の中を覗いてるのに気付く。「何してんの? あんたら」と声を掛けると、弟が優子を突き飛ばし、まるで捨て台詞のように吐いて逃げてしまう。

男の子「そっちこそ 何ばしよっとや!?
    おいん父ちゃんば 返せ! 返せ!」

優子は、唖然としてその場に座り込んでしまう。そこへ帰宅する糸子。優子は今さっきの出来事を糸子に告げない。ただ、閉まった扉の方を悲しい目で見ているだけ…。風が優子の髪をなびかせる。恐らく、冷たい冷たい冬の風に違いない。

この辺の多くを語らず、曖昧にした理由は分からないが、朝ドラとしての脚本と演出は悪くない。強過ぎず弱過ぎずだ。

「無断外泊」の描写も、かなり頑張った印象だ

昭和23年(1948)12月30日。糸子が完成した「テーラー周防」へ周防を連れて来る。店内のあちこちに気と金を遣ったようなことを、立て板に水の如く喋り続けるが、周防の表情はどんどん曇っていく。それに気付く糸子。周防は糸子に目を合わせない。糸子が「うち… 何を間違えたん?」と言うと、周防が糸子に目を合わせてこう切り出す…

周防「何も間違っとらんよ」
糸子「周防さん…。ほんまは 自分の店なんか持ちたなかったん?」
周防「うんにゃ…。夢やったばい。長崎に おった時から ずっと」

糸子は涙をこぼし荷物を持って、店内から飛び出して、店の看板を振り返り見上げる。

糸子(M)「うちは 初めて 自分の看板を見上げた時
     ごっつい うれしかった。
     ごっつい ごっつい うれしかった。何が ちゃうんやろな?」

そこへ周防も店内から出て来る。

糸子「ごめんな 周防さん。うち 周防さんの夢
   かなえたんやのうて 取ってもしもたんやな。
   そら 自分やのうて 女の金で 看板 あげてもうたかて
   何も うれしないわな? 何や はよ言うてよ 周防さん」
周防「い~や… でも ありがとう 糸子さん」
糸子「うちは…。周防さんを… ほんまに幸せにはでけへんのやな」
周防「おいも…。おいも そうたい」

泣き出した糸子が周防に寄り掛かる。周防はその糸子をそっと抱きしめる…。夜の店内。ストーブの炎と小さな小さな電気スタンドの灯りに映し出される糸子と周防が楽しそうに話している影…

糸子(M)「その夜 うちは 生まれて初めて
     無断外泊ちゅうのをしました」

この辺の描写も、かなり頑張ったと言う印象だ。ファンタジー過ぎず、適度なリアリティーを添えて、老若男女が見る朝ドラらしさも損なわずと言ったところだろう。

因みに演出担当は、第12週『薄れゆく希望』の福岡利武氏。第69回で、糸子が、善作の遺影に手を合わせるシーンで映像が時間を逆回しにする演出をした人。うん、なかなか映像的にも良く出来たシーンだ。

"センセーショナルな史実" を朝ドラらしくアレンジしたとも評価出来る

翌朝。糸子は月2千円で店を周防に売って、2人は抱き合いながら、笑顔で最後の挨拶を交わす。糸子は、裏口から家に入ると、毛布を被った千代が凄い剣幕で出迎ている。朝帰りを叱る千代に「ほんま堪忍」とだけ謝って、2階の自分の部屋へ駆け込む。三姉妹の寝顔をよーく堪忍してから、一緒の寝床に横になった…

糸子(M)「うちは また 前に進みます」

結局、今週は糸子と周防で終わってしまった。内容があまりにも糸子と周防に絞られ過ぎて、そこへ糸子の仕事は何とか絡ませてはいるが、以前にも書いた通り、「この脚本家は幼き子どもと母のエピソードを上手く書けない」と言う、苦手な部分が前面に出てしまったと思う。

まあ、もしかしたらご本人もそれをご存じで避けた分だけ、不倫に注力した可能性もある。だとしたら、不倫の落し所としては悪くないし、当時としては “センセーショナルな史実” を朝ドラらしくアレンジしたとも評価出来る。

とにかく、やっと一区切りだ!

しかし、私は、むしろ、以前に三浦が「外れても 踏みとどまっても 人の道」と言っていたように、糸子と周防がこのまま深みに嵌って、従業員や三姉妹や客からも総スカン食らう辺りから再起するみたいな方が、朝ドラで描く不倫劇としては正解だったかも知れないなんて思ったりする。とにかく、やっと一区切りだ。



【第98回】まるで「新章」と言うより「新ドラマ」

本放送時は、2012年1月31日(月)で、第18週『ライバル』の1回目。時は、昭和29年(1954)の秋…。

(予告編で予想はついていたが)おいおい、週明けで一気に6年間も時間経過してた。そして、三姉妹役が子役から、大人に交代した。子役時代の三姉妹で、3人の個性がほぼ描かれていないから、これではまるで「新章」と言うより「新ドラマ」を見るような感覚だ。

演出も脚本も、繋がりに違和感が無いよう工夫はされている

従って、しばらくは三姉妹についての状況や設定説明が為されるのだろう。いや、そうでもして貰わないと、物語についていけない。

確かに、この第18週の演出担当が本作のチーフディレクターの田中健二氏だから、演出的に全体の雰囲気は引き継がれている。それに脚本も、周防と奈津がいなくても、北村の再登場で先週から繋がっている感を醸し出す工夫もしてある。

第43回に、この第98回が直結しても面白かったかも…?

ただ、もしもこれからの本作が、糸子よりも三姉妹の描写に舵を切るようなことがあれば、パッチ屋で修行をし、善作がくれた看板を掲げ、21歳の糸子が「小原洋裁店」を開業した昭和9年(1934)の第43回の直後に…

「私は結婚して三人の娘に恵まれましたが、夫は戦死しました」のナレーションを添えて、この第98回を直結した方が、私が不満に思っていた「子役時代の子育ての描写不足」も感じることは無かったし、「糸子と周防」のくだりを良しと思わなかった視聴者にも良かったかも知れない。

新たな女優陣で三姉妹が演じる「三姉妹」も悪くない

しかし、現実として、新たな女優陣で三姉妹が演じる「新章」が始まったのだから、前向きに見てみよう。

いや、新しいドラマとして見ると、長女・優子役の新山千春さんは子役から引き継いだような似た印象があり、特に良かったのが次女・直子役の川崎亜沙美さん。リングネームの「亜沙美」として既知だった女子プロレスラーだったから、出演していて驚いてしまった。

三女・聡子役の村崎真彩さんは年齢が幼いから、もう一段階おとなの女優さんに変わりそうだ。しかし、優子と直子を見る限りでは、41歳の糸子を演じる尾野真千子さんもかなり頑張っている。この「新章」が吉と出るかどうか、もう少し見て見ないと分からなそうだ…

あとがき

第98回の冒頭を見た時は「大丈夫か!?」と思いましたが、15分間を観終えると、新しいドラマして受け入れれば、意外とイケるかなと思いました。

土曜日分の最後は「うちは また 前に進みます」のモノローグで括り、月曜日の最後は「さあ これからです」の台詞で終わりました。もしかしたら、これからが本編の始まりなのかも知れませんね。残り2か月、どう描くのか、「名作」の予感は当たるのか? 楽しみです。

とても続きが気になりますが、次の再放送再開は、私の予想を大幅に裏切って、8月27日(月)だそうです。一気に6年時間経過して、また3週間の一時停止。う~む、NHKも罪深い。『半分、青い。』のお口直しを用意して欲しいです。

最後に。前回のかなり厳しい内容の感想にも関わらず 43回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。分かって頂ける方がいただけで嬉しいです。では、また、3週間後の27日にお会いしましょう。皆さん、熱中症と夏バテに注意してお過ごし下さい。


残念ながら、ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレを書いて「教えてあげるよ」と言わんばかりの人が増えて、困っています。本当にネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※また、今週末までテンプレです(謝)

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第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
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第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
 49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69 70 71,72
第13週『生きる』
73,74 75
第14週『明るい未来』
76 77,78 79
第15週『愛する力』
80 81,82 83,84 85
第16週『揺れる心』
86 87,88 89,90 91
第17週『隠しきれない恋』
92 93,94 95,96


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  • 川崎亜沙美さん
ねっころがーる 2018/08/04(Sat)04:19:52 編集
結局、こちらにもコメントしてしまいます。

川崎亜沙美さん、この番組の舞台、岸和田のご出身で、とにかくネイティブっぷりが最高です。この辺りは本当はもっと和歌山弁寄りのはずが、そこは全国放送ということでドラマ全般的にまろやかにはなっていますが、川崎さんにはリアルの強さがありました。

隣の市にしばらく住んでいて、その他大阪・京都に長く住む私としては、
このドラマは出演者に関西ネイティブが多くて、方言上でも違和感ほぼ無くドラマにのめりこめることがポイント高かったのですが、
(昔の彼氏に「朝ドラの関西弁」という持ちネタがあったぐらい、以前はちょっとズレていることがスタンダードでした)
当時、ほっしゃんと彼女のネイティブっぷりにはほれぼれしていました。

私は泉州の海側から山側に引っ越して、数キロしか離れていないのに、学校で言葉が通じないという衝撃の体験をしたぐらいで、結構同じ泉州でも違うんですよね!
  • Re:川崎亜沙美さん
みっきー 2018/08/04 07:03
☆ねっころがーるさん

コメントありがとうございます。

私は東京生まれの東京育ちなので、
関西弁の細かなニュアンスの違いは判りませんが、
しっくりくる、こない、はありますね。

その辺も、今後は楽しみにしたいと思います。
  • 無題
あしもと 2018/08/04(Sat)10:21:16 編集
いつもブログ、興味深く拝見しています。
糸子が看板を揚げてから三姉妹大人時代までつないでも面白い…そのご提案に驚き、私が作品に感じていた魅力をお伝えしたく、コメントです。

ちなみに、3姉妹の母にもっと絞って描くというのも、それはそれで、もちろん面白いと思います。

そのうえで、私が本作に感じていた魅力の一つが、糸子が男性へ向ける思いです。

「男衆」という言葉にも代表される、だんじりに憧れる糸子の思いは、女性が男性に抱く憧れにも近いと思います。

本作の主人公は「男勝り」。物語も、安っぽい表層的なジェンダー論による描写でなく、糸子がぶつかった女性ゆえの壁や、そこを乗り越える様子が描かれます。

そのうえで、そういった次元を超えて、女性が男性を(もしくは男性が女性を)、その存在自体を愛しく思う(恋愛に限らず)思いが綴られていると思います。

結婚した糸子は、男性のことを「みっちり詰まった肉体」と表現します。そして、それが南の戦場でぼんぼん燃やされている、と怒ります。善作(戦死ではありませんが)、勘助、泰蔵兄ちゃんへの思い。戦争で、若い男衆がいなくなった岸和田の空虚。

男勝りで生き抜く力はあっても、男性がいなくては(女性がいなくては)何かが欠ける、そんな人間の本質をとらえたようなストーリーが、糸子の物語を共感で彩っていると思います。

さまざまな男性が糸子と関わるなかで登場した周防は、糸子にとって初めて「恋」を教えてくれる存在でした。かれが「男衆」の1人なのは、「周防が糸子の店にきてから、高い所の仕事は周防の仕事になった」というモノローグに現れていると思います。生活の肌感覚で感じる、異性の存在感です。高いところの仕事をやってもらうときの頼もしさは、女性の多くが共感するところだと思います。

男勝りの糸子から描かれるからこそ身に迫る、男性への思いが、「人が暮らす」ということを描いている、そんな見方をお伝えしたく、長文失礼しました。

女性からの味方かもしれません。ちなみに北村は、女性がいる嬉しさに涙をにじませていましたね。あれが男性から見てどうなのか…女性の私にはわかりませんが、あれもとても胸に迫りました。

これからもカーネーションのレビュー、楽しみにしています!
  • Re:無題
みっきー 2018/08/05 18:15
☆あしもとさん
コメントありがとうございます。
  • 朝ドラ
早起きは苦手 2018/08/24(Fri)07:47:15 編集
今の白目がぶち壊してますけど、朝ドラは一週間である程度の完結形だったから、それを月曜でぶった切る放映スタイルだと、本来意図していたものと違った見え方がしまうんじゃないかなぁと

土曜日の放映のあと、ひと呼吸おいてから翌週を続けて観たら、印象も変わる気がするにつけ、作品への愛が感じられない残念な再放送です
  • Re:朝ドラ
みっきー 2018/08/24 15:22
☆早起きは苦手さん
コメントありがとうございます。

1週間単位を意識しつつ、
新鮮な楽しみ方だと理解して見ています。
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MOZU Season2 ~幻の翼~
もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~
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ラストチャンス 再生請負人 ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~
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