カーネーション:再放送 （第145,146回・2018/10/24） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』（公式）
第25週『奇跡』の『第145回』と、第26（最終）週『あなたの愛は生きています』の『第146回』の感想。


※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。

---

【第145回】
ショーの当日。糸子（夏木マリ）はモデルの患者や病院職員に、観客に幸せを分け与えろと話す。そして加奈子（中村優子）に紅白のカーネーションの花びらを渡し、奇跡を見せるように言う。ショーが始まり、糸子のアナウンスに合わせ、モデルたちは生き生きと歩き、ポーズをとる。最後に加奈子が登場。胸がいっぱいの糸子に代わって、相川（山田スミ子）がアナウンスする。夫や子どもたちを前に、加奈子は輝く笑顔で花びらをまく。

【第146回】
平成17年、91歳の糸子（夏木マリ）は店の2階を改装し、皆が集まるサロンにする計画をたてる。新聞取材では91人のボーイフレンドについて話し、自分ではなく相手のためを思ってすることの喜びを語る。自分のブランドで紳士服を始めるなど、糸子はまだまだ意気軒こう。改装のため2階を取り壊す前日、広々とした畳に寝転がり今までに思いをはせる。当日、孝枝（竹内都子）は感傷的になるが、糸子は今を生きるのだと言い切る。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第145回】

笑いあり涙ありの医療ﾄﾞﾗﾏの1つのｴﾋﾟｿｰﾄﾞとしてなら…

本放送時は、2012年3月24日（土）で、第25週『奇跡』の最終日。う～ん、いつぞやの小泉元総理のように「痛みに耐えてよく頑張った！ 感動した！ 」と書かなければいけないのだろうか。

それこそ、ドラマ『ナースのお仕事』みたいな “笑いあり涙ありの医療ドラマ” の中の1つのエピソードとしてなら、偶然同じ病院に元気なおばあちゃんと若い末期患者が入院していて…と、感動的で素晴らしい15分間だったと思う。

糸子である必要があっただろうか?

ただ、本作は世界的に活躍するファッション・デザイナーのオハラ三姉妹を育て上げ、自らも娘たちと同じ職業で晩年まで活躍した小原糸子の生涯を描く朝ドラのはずだ（まあ、途中からそうなった訳だが）。

でも、冷静にこの院内ファッションショーのくだりを見れば、糸子である必要があっただろうか？ せめて、「オハラ三姉妹を育て上げ…」と言う部分が、エピソードに絡んでいれば良かったのだが、最後までオハラ三姉妹は登場せず、淡々と「女の一代記」の仕上げに、取り掛かっただけのようにしか見えなかったのが惜しまれる。

糸子と奈津の口喧嘩を "奇跡" として描けば…

そして、この院内ファッションショーのくだり、いや病院での話で、唯一、主人公が糸子で無ければ描けない、奈津との再会を描かずに最終直前週を終えたことが残念でならない。出演者のスケジュールの都合か知らないが、ここでこそ、「老いてもまだ元気」と言う “奇跡” の1つとして、糸子と奈津の口喧嘩でこの週を締め括るべきでは無かっただろうか。

"奇跡的" に治った加奈子を再登場させるつもりなのか?

そして、この脚本家なら末期がんの入院患者・吉沢加奈子は決して死ぬことは無いだろう。むしろ、奇跡的に完治して最終回あたりにひょっこり顔を見せるかも知れない。「私は、糸子さんに救われた」と言わんばかりに。そのためのエピソードだと勝手に想像すれば、正にエピローグのためのエピソードと言える。が、必要かどうかは別の話だ。

【第146回】

思い出はどうでも良いと描きつつ、思い出を必死に描く…

本放送時は、2012年3月26日（月）で、ついに第26（最終）週『あなたの愛は生きています』の第1日目。

時は、平成17年（2005）4月。家の二階を改装するための片づけで出て来た、神戸箱や心斎橋百貨店の制服のデザイン画や「ピアノ買うて」のメモ紙などの「思い出グッズ」を登場させたり、何も無くなった部屋に大の字で寝る糸子を描いたりして、必死に尾野真千子版の糸子時代（第二部と言えば良いのか）と第三部を必死に繋げようとする一方で…

糸子「90過ぎたら 思い出なんぞ もう どうでもええで」

二階の改装が始まって、壁やらが剥がされて行くのを見て言う糸子のこの台詞。まるで「第三部は第三部」「晩年編は晩年編」と言わんばかりの相反する描写を最終週でやって、半年分のエピローグのエピローグを始めるのか…

結局、第三部に入ってから何を描いたの?

今回の15分間（最終週の月曜日と言う意味）を見る限りでは、第三部で集中して描かれた里香のくだりも、劇中が数年の時間経過をしているために、このエピローグのエピローグ（サロン計画）には結果的に無関係。ただただ、新たな構想に着手する糸子を描き、視聴者に「思い出」も楽しんで貰おうと言う意図なのだろう。

決して間違ってはいない。死に向かうヒロインを描くよりはずっとマシだし、半年間を見続けて来たご褒美を貰うのも悪くないとは思う。ただ、最終週の月曜日が「思い出」を思い出させることと、思い出に拘らない糸子を同時に描いたことで、私には「結局、第三部に入ってから何を描いたの？」と言う素朴な疑問が残ってしまったと言う訳だ。

ｴﾋﾟﾛｰｸﾞのｴﾋﾟﾛｰｸﾞとして間違っていないが、これがﾍﾞｽﾄか…

何度も書くが間違ってはいない。でも、よ～く考えれば、尾野真千子版の糸子が60歳（第127回）の次の日に、「突然、あれから20年が経ちました」と夏木マリさんのナレーションを入れて、今回の冒頭に直結した方がしっくり来たのではないだろうか。

何を言いたいのかと言うと、その位に第三部は中身が薄かった、いや無かったと言っても良いかも知れない。まあ、エピローグや最終章なんて、謎解きドラマや勧善懲悪モノ以外では、納得出来るような結末が用意される訳では無いから、こう言うのも十分にアリだが、これがベストかと言えば、何か違うような気がする。

特に第二部のエピローグと比較してしまうと物足りない。それが本作の現状だと思う。

あとがき

まとめようとしているのは分かりますが、尾野真千子版の糸子の話と強引に繋げようとしているだけで、もはやスピンオフドラマのように見えているのですが。どうやら、傑作、名作と期待し思って来た本作にも「朝ドラ、魔のラスト1か月」は当て嵌まるみたいです…

トラックバックは、下記の「ミラー & TB用ブログ」へお願いします。
【FC2ブログ】http://dmesen.blog71.fc2.com/blog-entry-9746.html

---

【これまでの感想】

第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
 49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69 70 71,72
第13週『生きる』
73,74 75
第14週『明るい未来』
76 77,78 79
第15週『愛する力』
80 81,82 83,84 85
第16週『揺れる心』
86 87,88 89,90 91
第17週『隠しきれない恋』
92 93,94 95,96 97
第18週『ライバル』
98 99,100 101,102 103
第19週『自信』
104 105,106 107,108 109
第20週『あなたを守りたい』
110 1111,112 1113,114 115
第21週『鮮やかな態度』
116 117,118 119,120 121
第22週『悔いなき青春』
122 123,124 125,126 127
第23週『まどわせないで』
128 129,130 131,132 133
第24週『宣言』
134 135,136 137,138 139
第25週『奇跡』
140 141,142 143,144

---

感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。

【すべてのコメントの「投稿時の文字数」について】
投稿の際は、できれば文字数200以内のご協力をお願いいたします。

【すべてのコメントの「非公開希望」について】
表題か本文中に「非公開希望」と書いてくださると助かります。

【すべての投稿されたコメントについて】
当blogの『無断転載禁止＆まとめサイトへの引用禁止、コメント，トラックバック＆リンク・ポリシー』に基づき、不適切な書き込み（読む人を不快にさせる内容、誹謗中傷、特定の個人への攻撃）は、恐れ入りますが管理人の判断で、非公開、または削除させていただく場合もございます。何卒ご理解・ご協力くださいませ。

【Amazonアソシエイト、楽天アフィリエイト、忍者AdMaxについて】
商品リンクや広告は「成果報酬型広告」です。
私に少しポイントが入りますが、商品の値段は変わりません（謝）

｢共感!｣｢納得!!｣なら"Web拍手"と一緒にﾎﾟﾁｯと…
｢違うでしょ?｣｢怒!!｣でも意思表示でﾎﾟﾁｯと…
押していただけると､うれしいです♪

◎Web拍手のために、こんな下まで来てくだり、本当にありがとうございます（感謝）